2012年4月15日 (日)

ここ最近のメモ

ここ3か月ばかり、職場の異動などもあって、記事を書き込んでいなかったので、メモ的にいくつか記録しておきたいと思う。

○ ハイレゾ音源

  ハイレゾの記事をあげたら、圧倒的に「ハイレゾ」に関するアクセスが集中するようになった。これからは、もはやCD/SACDプレイヤーの時代ではない。その音質の良さでネットワークプレイヤーやUSB-DACがとってかわるのもそう遠くないだろう。

ネットワークプレーヤー試聴記事

 http://acusco.cocolog-nifty.com/higurasi/2011/10/post-443d.html

ハイレゾ音源を聴く方法

 http://acusco.cocolog-nifty.com/higurasi/2011/10/post-1c85.html

○ LPCD45という高音質CD

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               (THE BEST SOUND COLLECTION Vol.2)                                             1. All Out of Love - Air Supply 2. Dust In the Wind - Kansas 3. Longer - Dan Fogelberg 4. Always On My Mind - Willie Nelson 5. When I Fall In Love - Rick Astley 6. Every Time You Go Away - Paul Young 7. True Colors - Cyndi Lauper 8. The One That You Love - Air Supply 9. You've Lost That Lovin' Feeling - Daryl Hall & John Oates 10. Dog & Butterfly - Heart 11. Put Your Head On My Shoulder - Paul Anka 12. I Believe I Can Fly - R. Kelly 13. Try To Remember - The Brothers Four 14. You Are My Destiny - Paul Anka 15. Sunshine On My Shoulders - John Denver 16. The Sounds Of Silence - Simon & Garfunkel

香港で製作されているLPCDは、XRCDやK2HDの音質に近く、SHM-CDやBlu-spec CDなどよりも高音質である。ロック・ポップス系の『THE BEST SOUND COLLECTION Vol.1 』とVol.2を購入したが、高音質で聴きやすく非常に満足している。

○ RHINO製品

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RHINOによって施されたデジタル・リマスターは、真のデジタル・リマスターといえるのではないか。ドアーズの全アルバムBOXセット『Collection』など、リマスターで確実に音がよくなっている。

○ サザンオールスターズのK2HD盤

これまでサザンのアルバムは音が悪くて(私個人の主観)CDの購入を避けていたが、このK2HD盤は通常CDより高音質であり、某大手通販メーカーで驚くほど廉価で新品が購入できる。また、HDCD盤の『バラッド3』(「TSUNAMI」が収められているのは、このアルバムだけ)も音場感が広がり、通常CDより高音質である。

○ 綾戸智恵/CHIE AYADO LIFE

Edjvcsxr998031_2                 『CHIE AYADO LIFE』 
1. New York State of Mind 2. Amazing Grace 3. Bye Bye Blackbird 4. Tennessee Waltz 5. You've Got A Friend 6. Love Letters 7. Route 66 8. I Could Have Danced All Night 9. Mr. Bojangles 10. Everything Must Change 11. For Once In My Life 12. Fever 13. Yozora No Mukou 14. Let It Be
 

日本では発売されていない綾戸智恵のXRCD24+SHM-CD盤 『CHIE AYADO LIFE』は非常に高音質。スタジオライヴのようだが、臨場感・音質ともに◎

○ スティングの『ベスト・オブ・25イヤーズ』は改悪リマスター

Sting

[DISC1]  01.セット・ゼム・フリー  02.ラヴ・イズ・ザ・セブンス・ウェイヴ  03.バーボン・ストリートの月  04.フォートレス・アラウンド・ユア・ハート  05.イングリッシュマン・イン・ニューヨーク 06.孤独なダンス 07.フラジャイル 08.ウィル・ビー・トゥゲザー  09.オール・ディス・タイム 10.マッド・アバウト・ユー 11.ホワイ・シュッド・アイ・クライ・フォー・ユー 12.ソウル・ケージ 13.ルーズ・マイ・フェイス・イン・ユー 14.フィールズ・オブ・ゴールド 15.セヴン・デイズ 16.シェイプ・オブ・マイ・ハート [DISC2]  01.ホエン・ウィー・ダンス 02.ブロート・トゥ・マイ・センシズ 03.ユー・スティル・タッチ・ミー 04.アイム・ソー・ハッピー・アイ・キャント・ストップ・クライング 05.デザート・ローズ 06.ブラン・ニュー・デイ 07.センド・ユア・ラヴ (デイヴ・オーデ・リミックス) 08.ホェンエヴァー・アイ・セイ・ユア・ネーム 09.ストーレン・カー 10.エンド・オブ・ザ・ゲーム 11.ネヴァー・カミング・ホーム 12.ラシアンズ (ライヴ) 13.孤独のメッセージ (ライヴ) 14.デモリション・マン (ライヴ) 15.ヘヴィ・クラウド・ノー・レイン (ライヴ)

25周年と銘打っているので期待していたが、デジタル・リマスターが悪く、過去の『フィールズ・オブ・ゴールド~ベスト・オブ・スティング 1984-1994』や『マイ・ファ二ー・ヴァレンタイン~スティング・アット・ザ・ムーヴィーズ』のSHM-CD盤と聴き比べても、音が左右に分離されていない部分があり、高域の抑えが利いていないように思える。期待していただけに残念である。

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2012年1月22日 (日)

川井郁子 『 The Violin Muse 』 HQCD盤は高音質

クラシック系のCDには、高音質CD(素材そのものの高音質盤という意味でなく)が少ないように私には思える。だから、SACDでいくらかでも音質を向上させようとしているのではないだろうか。

某音楽・オーディオ誌では、さもクラシックが最も高音質のように評価されているが、同誌の特選CDというものを試しに購入して聴いてみても、楽器の音にメリハリがなかったりで、がっかりさせられることが多い。

もっとも、私はクラシック・マニアではないので、指揮の良し悪し、演奏の良し悪しはよくわからない。だから、指揮や演奏をとらえて特選というのならば、話はわからないでもないが…。

クラシックの場合は、ロックやジャズ系と違って、楽器から直接に録音することなく、楽器の音色を拾い集めるように録音するので、音質が向上しないのではないかと私は思うのである。

逆に、ロック・ポップス系やジャズ系の方が音がよい。なぜなら、多くは楽器から直接音を録っているからである。中には、楽器から直接録音しない方がよいという人もいるだろうが、私には“いい音”として聴こえないのである。

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     ( High Quality CD 『The Violin Muse』 川井郁子 中国盤)

ところが、川井郁子のHQCD(通販表示では+K2masteringとなっている)は、ヴァイオリンからエレアコ風に直接録音しているものと思うのだが、素晴らしく音がいい。テレビ番組での彼女の演奏シーンでは、いつもヴァイオリンをエレアコ風に弾いている。

このアルバムは、川井郁子のオリジナルを多く含んでいるので、クラシックといえるのかどうか定かではないが、私がこれまでに聴いたクラシック系のCDで、最高音質である。ヴァイオリンの艶やかで瑞々しい音色とその臨場感は、他のクラシックCDと比較して群を抜いているように思える。

ちなみに私は、ヴァイオリニストのアンネ=ゾフィー・ムター『カルメン幻想曲~ヴァイオリン名曲集』をXRCD盤で所有しているが、このXRCDよりも音質は上である。ただし、あくまでもヴァイオリンからの録音方法の違いによるものであり、HQCDの方がXRCDよりも音がよいということではない。

川井郁子のHQCDをかけていると、決まって妻は、「いい音ね!」と言うのである。だから、私だけの個人的な感想だけにとどまっていないことも事実である。

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         (川井郁子ではなく、川井鬱子?)

このCD、制作は日本ビクターであるが、販売元が中国であるためか、おかしなことにアルバムの表記に?が付くものがある。それは彼女の名前である。なんと、川井郁子ではなく、川井鬱子となっている。中国では“郁”という文字がなく“鬱”を代用しているのだろうか、発音が同じなのだろうか、あるいは単なる誤植なのか、その辺のところは、よくわからない。

それは余談であるが、彼女の他の通常CDと聴き比べても、このCDに勝るものはない。

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2012年1月16日 (月)

ハービー・ハンコックのリストバンド

今年の1月1日、WOWOWで放送されたグスターボ・ドゥダメル×ハービー・ハンコック「ガーシュイン」を今日録画で観た。

2011年9月27日、ウォルト・ディズニー・コンサート・ホールで開催されたコンサートから、「巴里のアメリカ人」、「ラプソディ・イン・ブルー」など、ジョージ・ガーシュインの代表的ナンバーが収録されたものである。

純粋なクラシック・ファンではなく、雑学的にしかクラシックを聴かない私は、グスターボ・ドゥダメルなる指揮者を知らなかった。ただ、ハービー・ハンコックとの掛け合いの中で見せる彼の笑顔は、どことなく、どこかで見たことがあるような愛嬌のある顔をしていた。

Dsc01091a  (H・ハンコックの演奏を笑みを浮かべて覗き込むグスターボ・ドゥダメル)

ちなみに、彼は2004年にドイツのバンベルクで開催された第1回グスタフ・マーラー国際指揮者コンクールで、弱冠23歳で優勝し、一躍脚光を浴びる存在になったという。アメリカの名門オーケストラ、ロサンジェルス・フィルハーモニックを率いる彼はまだ30歳の若さであり、天才的指揮者と呼ばれているらしい。

素人の私が見ていても彼の指揮ぶりには惹き込まれるものがある。わずか90分あまりの番組ではあるが、ついつい耳を澄まし聴き入ってしまった。

一方、71歳のハービー・ハンコックはJAZZファンでなくとも、80年代MTVの時代に大活躍したことでポップス/ロック系ファンでもその名が知られている。1983年に一大センセーションを巻き起こした「ロック・イット」以降、彼はグラミー賞の常連でもある。

オーケストラを背にしての彼に、ただのピアニストではない雰囲気が漂よう。クラシックとジャズを融合した「ラプソディ・イン・ブルー」は彼の本領発揮で、軽いピアノタッチと重々しいピアノタッチが絶妙に交差する。指揮者もろとも、ときおり漏らすその会心の笑みには、音楽家としての喜びが垣間見られ、何とも羨ましい思いがした。

Dsc01090a      (「ラプソディ・イン・ブルー」でのH・ハンコックの演奏シーン)

ラストの曲でもある、その「ラプソディ・イン・ブルー」の前は幕間になっていて、ハービー・ハンコックは一旦ステージを下がるのだが、それまで彼の右手首には銀のブレスレットだけしかなかった。彼が再び登場し、「ラプソディ・イン・ブルー」のソロ・パートを奏ではじめた彼の右手首を見ると、その手首には、それまでにはなかった赤と白のリストバンドがはめられており、よく見ると、そのリストバンドには、「HOPE FOR JAPAN」、「5.11 Herbie Hancock…」と書かれているのである。

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それから、私は何か更に彼の演奏に惹き込まれてしまったのである。私が知る限りでは、3.11東日本大震災が発生し、いち早く行動に移したのは、やはりロサンゼルス居住のJAZZミュージシャンたちであった。彼らは、東日本大震災救済のために、新録音での『JAZZ FOR JAPAN』というアルバムを制作したのである。ハービー・ハンコックはこのアルバムの録音に参加はしていないものの、彼の代表作である「処女航海」を提供している。

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私は、ハービー・ハンコックが9か月以上も経った時点においても、変わらずに同じ気持ちでいてくれたことがうれしかったのである。後で調べてみると、そのリストバンドは、昨年の5月11日、福岡で開催されたハービー・ハンコック・コンサートで使用されたリストバンドであった。そのリストバンドをわざわざラストの演奏のため銀のブレスレットの上に、はめなおしてきたのである。

彼のその心意気というか優しさが、「ラプソディ・イン・ブルー」という軽快かつ荘厳な雰囲気を併せ持つ楽曲に見事に溶け込んで、果ては会場を喝采の渦へと巻き込んで行ったのであった。

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2012年1月 9日 (月)

フォリナーLIVE・BDは高音質・高画質

正月の連休で、フォリナーとデヴィッド・ギルモア(ピンク・フロイド)のライヴを輸入盤ブルーレイ・ディスクで観た。

D・ギルモアについては、昨年末、DVDとデジタルビデオに録画しておいた『狂気』と『鬱』のLIVEを観て、もっと高画質・高音質で観てみたいと思ったこと、また、フォリナーについては、やはり昨年購入したベスト盤CDの音質がよかったことと、数年前のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴを再度観て、新メンバーながら80年代当時のフォリナーと見劣りがしなかったから、通販(マルチ・バイ特価で)で同時購入したのである。

Dsc01053a 『Remember That Night』  DAVID GILMOUR Live at The Royal Albert Hall )

ディスク1
1.Speak To Me/2.Breathe/3.Time/4.Breath (Reprise)/5.Castellorizon/6.On An Island featuring Crosby & Nash/7.The Blue featuring Crosby & Nash/8.Red Sky At Night/9.This Heaven/10.Then I Close My Eyes featuring Robert Wyatt/11.Smile/12.Take A Breath/13.A Pocketful of Stones/14.Where We Start/15.Shine On You Crazy Diamond featuring Crosby & Nash/16.Fat Old Sun/17.Coming Back To Life/18.High Hopes/19.Echoes/20.Wish You Were Here/21.Find The Cost Of Freedom featuring Crosby & Nash/22.Arnold Layne featuring David Bowie/23.Comfortably Numb featuring David Bowie

ディスク2
1.Wot's ... Uh The Deal /2.Dominoes /3.Wearing The Inside Out featuring Richard Wright /4.Arnold Layne featuring Richard Wright /5.Comfortably Numb featuring Richard Wright/6.Performance from the Summer Tour 2006: Dark Globe/7.Recorded at Abbey Road Studios: Astronomy Domine/8.Performance from the AOL Sessions: This Heaven/9.Castellorizon/10.On An Island/11.The Blue /12.Take A Breath /13.High Hopes /14.The Making Of 'On An Island' /15.The West Coast/16.On An Island/17.Smile  US盤 2007年

D・ギルモアのライヴ(2007年)については、ピンク・フロイド時代の楽曲が中心で、大掛かりなセットに彼のギター・ワークが映えて素晴らしい。幾分声が野太くなっているが、リチャード・ライトも参加していて、その完成度はピンク・フロイドそのものと言っても過言ではないだろう。

もっとも、「ロジャー・ウォーターズのいないピンク・フロイドなんて」という人もいるだろうが、ロジャー・ウォーターズ抜きでも充分ピンク・フロイドである。ただし、D・ギルモアの外見・容貌はミュージシャンというよりも、木こりや農夫といった風情がある。その彼が、巧みにギターを弾き、サックスを奏でる姿は、圧倒的な迫力感がある。

なんと言っても、20分を超す「Echoes」の完全再現は、このBDだけではないだろうか。そして、ゲストとして、デヴィット・ボウイが「Arnold Layne」と「Comfortably Numb」を歌っているのも私にはうれしかった。

肝心の画質・音質については、画質はフォリナーほど高画質とは言えないが、BDとして満足できる映像であり、音質は48khz/24bitで録音されていて全く遜色はなく、2ch及び5.1chのいずれか選択できる。また、ドボーナス・トラックのキュメンタリー・フィルムも日本語字幕がついており、心配いらない。

次に、フォリナーのBDだが、これが高画質のうえ、高音質である。フォリナーと言えば、もうとっくに解散しているとばかり思っていたのだが、2、3年前、彼らのライヴ映像を観て、その健在ぶりがうれしかった。何よりも、ルー・グラムの後任のヴォーカリストであるケリー・ハンセンの歌いっぷりが非常に魅力的に感じた。そして、昨年、彼らのリマスターされたベスト盤(EU盤)を購入し、唯一リマスター盤として音質が向上していたのに驚いたものである。(これについては、後述としたい)

Dsc01049a                ( FOREIGNER LIVE )

1.Night Life /2.Head Games /3.Cold As Ice /4.Waiting For A Girl Like You /5.Too Late /6.Say You Will /7.Long Long Way From Home /8.Double Vision /9.Blue Morning /10.Blue Day /11.Dirty White Boy /12.Starrider /13.Feels Like the First Time /14.Urgent /15.Juke Box Hero /16.I Want to Know What Love Is /17.Hot Blooded   2011年 US盤

この作品はBD化を意図したものかどうかは定かではないが、2005年(?)のスタジオ・ライヴであり、ライヴ映像にありがちな解像度の乱れや、粒子の粗さが目立つこともない。音質はSACDにもできるDTS-HDマスターで録音されており、BSで観るライヴ映像よりも高画質・高音質である。

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前述したが、ケリー・ハンセンのヴォーカルが素晴らしい。ルー・グラムに勝るとも劣らないその歌唱力は、このグループの存在を左右しているように思える。観客をうまく巻き込むエンターティナー性を併せたアーチストとしては、彼の方が上かもしれない。

彼の歌うフォリナー往年の大ヒット曲、「Waiting For A Girl Like You」、「I Want to Know What Love Is」は、まるで彼のオリジナルかのように、すんなりと耳に入ってくる。

そして、旧メンバーとしては、ただ一人のミック・ジョーンズの健在ぶりも、ファンにはうれしいに違いない。また、ドラムは、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムの息子であるジェイソン・ボーナムが参加していることも見逃せないところだ。

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それにしても、このBDが僅か約1400円(新品)で購入できたとは、その点に関しても評価したい。

ただ1点、音声トラックを高音質にして付け直しているせいか、音声と映像がごく微妙にずれていることである。気にならない人には、気にならないのだろうが、それが口パクではないにもかかわらず、口パクのように観え、聴こえてしまうことが残念である。

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2011年12月11日 (日)

「ドストエフスキーの森」に再び彷徨う。

35年ぶりに、再び“ドストエフスキーの森”を彷徨っている。

きっかけは、今年の4月ころ、近所の書店で『現代思想』の4月臨時増刊号「総特集=ドストエフスキー」(2010年4月発行)を手にしてからだ。

Dsc00940a    (左から「現代思想」1979年、「ユリイカ」2007年、「現代思想」2010年)

これまでに、青土社の月刊誌でドストエフスキーの特集号があれば、ほとんど購入してきた。1979年の『現代思想』9月号「特集=ドストエフスキー」、2007年の『ユリイカ』11月号「特集=ドストエフスキー」などがそうである。

もっとも、他の評論本も多く読んでいるのだが、今回の特集号は就寝前の時間を使って隅から隅まで読んだので、読み終わるまでに半年近くかかってしまった。

そして、私に影響された妻が、亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』(光文社・文庫本)を読み通したことで、気をよくしたせいか、通勤で読むのに文庫本はもってこいということもあって、11月から読み始めて、ひと月とかからずに、通勤電車とバスの短い時間の中で読み切ってしまった。短期間で読めたのも亀山郁夫の平昜な翻訳のおかげかもしれない。集中して読めば全5冊(いずれも読書ガイドがたっぷりついている)も2週間とかからないかもしれない。

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ついでに、『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する(亀山郁夫 光文社新書)まで読んでしまった。

“ドストエフスキーの森”というからには、この間、読書だけではない。ロシアでテレビ放映されたDVD版『罪と罰』(2007年)、『白痴』(2003年)を鑑賞した。どちらも、7~9時間の長尺ものである。『カラマーゾフの兄弟』(2008年)は、正月休みにじっくり観てみようと思っている。

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( IVCからリリース。「悪霊」と「未成年」も放映しDVD化…できればDVDと言わずにBD化してもらいたい。…してもらいたいものだ。「未成年」は、やはりロシアでTV化されたドラマがあるようだが、現在DVD化され市販されているものは見当たらない。ちなみに、アンジェイ・ワイダ監督による『悪霊』はLDで所有しているが、シャートフ殺しとキリーロフの自殺=人神論にテーマを絞り込んでいて116分と短い。

そして、私が今読んでいるのは『悪霊』(亀山郁夫訳・光文社文庫)である。35年前、私の初めてのドストエフスキー体験が、この悪霊であり、それ以降の読書はドストエフスキー中心となっていった。彼の作品は、創作ノートから『作家の日記』に至るまで、翻訳されているものは全部読み通している。

ドストエフスキーの作品を読むと、自分も作家になりたいと思う人が多いということを何かで読んだ気がするが、私も例外ではなかった。おかしなことに、今でもその夢を持ち続けているのだから始末が悪い。

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ちなみに、私がドストエフスキーを読み始めてから最も古い特集は、1976年に河出書房から発刊された『文芸読本』の「ドストエーフスキー」である。これには、小林秀雄から埴谷雄高、大江健三郎にいたるまで、そうそうたるメンバーの評論や対談、そのうえ米川正夫訳の『白夜』と『大審問官』までが収められている。この文芸読本は「ドストエーフスキーⅡ」まで出ている。こちらには、やはり米川正夫訳の『初恋』、『スタヴローギンの告白』、『百姓マレイ』が収められている。

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この文芸読本の中に、五木寛之の「ドストエーフスキーと私」と題するエッセイがあり、その最後に、「…ドストエーフスキーの作品群は、その深い樹海の中に一際くらく、深く、そびえている森のように見える。誰もが通るポピュラーな小径をさけて、全く新しい木の茂みをわけ入るような読み方でドストエーフスキーを読んでみたい、としきりに思うようになった」と書かれているが、私も五木寛之のようにとまではいかないが、ドストエフスキーの深い深い森に踏み入ったようである。

亀山郁夫が『カラーマーゾフの兄弟』巻末「訳者あとがき」の最後に記した「…もう一度、ドストエフスキー山脈の麓へと足を向けていくかもしれない。」は、この五木寛之の言葉とダブる。だから、私もタイトルに使わせてもらった。

ドストエフスキー作品群の読後感については、およそブログで書ける内容ものではないと思うが、気が向けば短い寸評、あるいは備忘録的なものでも書いてみようと思っている。

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2011年10月16日 (日)

ハイレゾ音源を聴く方法

ネットワ-ク・プレーヤーの記事を載せたら、ハイレゾ音源を聴く方法についてのアクセスが散見されるようになったので、その方法について簡単に記しておく。

ハイレゾ音源をピュア・オーディオとして聴くためには、基本的にPC、アンプ、スピーカーは必須である。(ただし、ヘッドフォンで聴く場合は、ハイレゾ音源をダウンロードしてPCでメディアプレイヤーなどの音楽再生ソフトを通して聴ける。)

まず、ハイレゾ音源を高音質で聴く方法は基本的に2つある。

一つは、もっとも簡単な方法で、PCとアンプの中間にUSB-DAC(またはUSBプロセッサー)をつないで聴く方法である。この場合、PCとUSB-DACはUSBケーブルでつなぎ、USB-DACとアンプの接続はRCAコードなどのアナログ接続またはデジタル接続である。この方法は試聴したことがないので、その音質については何とも言えないが、オーディオ関係雑誌等によれば、PCだけで聴くよりは高音質であるらしい。

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              ( e-onkyo music のHPから)

二つめがネットワーク・プレーヤーを介して聴く方法であるが、この場合、ネットワーク・プレーヤーはアンプにRCAコードでつなぐだけであるが、PCとネットワーク・プレーヤーの間にルーターとNASが必要になる。

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上図はYAMAHAのHPにあるものだが、つまり、PC→ルーター→NAS→ネットワーク・プレーヤーとそれぞれをLANケーブルにつなぐのである。ルーターは、ネットを利用していれば新たに必要はなく、ハイレゾ音源の情報量の大きなファイルを格納するためのNAS(ネットワーク接続ストレージ、つまりはLAN接続のハードディスク)もPCだけでいいというのであれば必要ないかもしれないが、NASがあればPCを通さなくても、NASに保存したハイレゾ音源をネットワーク・プレーヤーが読み取り再生することができる。

上図は、ルーターが無線用(Wihi)になっているが、無線では、他の電波の干渉により音が途切れる可能性があること、また高音質の面から考えると有線のLANケーブルでつないだ方が有利と思われる。(YAMAHAの関係者もそう説明していた。)

※ハイレゾ配信サイト

e-onkyo music http://music.e-onkyo.com/contents/hd.asp

クリプトン HQM STORE http://www.hqm-store.com/index.php

OTOTOY http://ototoy.jp/music/

HDtracks(海外サイト) https://www.hdtracks.com/

Linn Records(海外サイト)   http://www.linnrecords.com/

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2011年10月 8日 (土)

ネットワーク・プレーヤー(NP-S2000)でハイレゾ音源を聴く。

昨日、YAMAHAのネットワーク・プレーヤー NP-S2000の試聴会に参加した。

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試聴会は、午後7時から泉岳寺駅近くのヤマハエレクトロニクスマーケティング株式会社において約15人の参加者のもとで行われた。

試聴ルームは約12畳ほどのスペースで、家庭でのリスニングを想定したものであろう。

試聴に使用したオーディオ機材は、ネットワーク・プレーヤー(NP-S2000)、アンプ(A-S2000)、CDプレーヤー(CD-S2000)、スピーカー(Soavo-1)で、いずれもYAMHAのリファレンス・モデルである。

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まず最初は、オーディオ・マニアの間では有名なジェニファー・ウォーンズ「ハンター(SACD)」のハイブリット層から「ROCK YOU GENTLY」をCDプレーヤーで聴く、次にそのリッピング・ファイルをネットワーク・プレーヤーで聴いて比較試聴する。

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  (ジェニファー・ウォーンズ「ハンター」SACD、この24K GOLD CD盤がお薦め)

次は、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」を同様にして試聴する。そのあと、ピアノやベース単体の演奏を録音したものを24bit/96kHzと24bit/192kHzで試聴する。(カタログの仕様では96kHzまでとなっているが、version up しWAVなら192kHzまで聴けるようである)

そして、ジャズやクラシック録音のものを同様にして、1時間ちょっと試聴したものである。その後、いくつかの質疑応答があって、最後にはSACDとそのハイブリット層の比較試聴もできた。

ジェニファー・ウォーンズとイーグルスの試聴については、私がいつも聴いているものなので、音の違いについてはよくわかった。

つまり結論は、CDプレイヤーでCDを聴くよりもCDをリッピングしたファイルをネットワーク・プレーヤーで聴く方が、音がいいということである。音の粒立ち、高低域の伸びと、ダイナミック・レンジ感の広さなど、すべてにおいてCDを直接聴く音よりも上回る。それは、明瞭にわかることであり、私だけの感想ではないから間違いないことであろう。

また、ハイレゾ音源である24bit/96kHzと24bit/192kHzは、CDをリッピングしたファイルよりもはるかに高音質であることも書き添えておく。

そして、NP-S2000が素晴らしいことも確かであろう。NP-S2000はオーディオ機器としての高級感もあり、薄いにもかかわらず重量12㎏あるということは、音質へのこだわりがあるのであろう。駆動系を持たないネットワーク・プレイヤーは、CDプレイヤーと違って何よりもも静寂性があり、余計な振動を躯体に伝えることがない。

定価で20万円ほどであるが、その音質は30万円前後相当のCDプレーヤーに匹敵するかもしれない。(ただし、30万円前後相当のCDプレーヤーを比較試聴してないから何とも言えないのだが…)

Dsc00409a   (左上A-S2000、右上CD-S2000、右下NP-2000 いずれもシルバー色)

NP-S2000は、MP3やWMAはもちろんのこと、WAV、FLACにも対応する。その音質はYAMAHAらしく…私のイメージであるが…高域に伸びがあり、繊細である。また低域もタイトに締っている。それは、かつて私がYAMAHAのCDプレーヤー(CDX-2200)を最初に購入した時の印象とよく似ている。

惜しむらくは、すべてが20万円程度のセットであり、アンプやスピーカーがもうワンランク、ツーランク上がれば、NP-S2000がどの程度実力を発揮するのか聴いてみたかった。手間がかかるので、そこまで望むべきではないかもしれないが、NP-S2000の実力がどれほどのものか知りたかったのである。

それは、Soavo-1の音が、私が普段聴いているオーディオ環境よりも悪かったからである。ピアノ、ベース、サックスの音に張りと艶がなく、残念に思った。そして、いまあるDP-500にNP-S2000が対抗できるのか知ることができなかった。

ともあれ、少なくとも我が家において、ここ数年後にはネットワーク・プレーヤーがCDプレーヤーにとって代わることは、ほぼ間違いないだろう。

参考までに、この機会でSACDを試聴できたが、思っていたほどでもなく、私が聴く分においてはXRCDの音質の方がSACDに勝るという印象を受けた。これもまた比較試聴したわけでもなく、他のソフトも聴いていないので確かなこととは言えないのであるが、私にはSACDの音質は多少うるさく、聴いていて疲れる思いがし、その後に聴いたハイブリット層の音にほっとしたことは事実である。

最後に、ネットワーク・プレーヤーによるハイレゾ音源を試聴できる場を与えていただいたYAMAHAのスタッフの皆様への謝意を記しておく。

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2011年10月 5日 (水)

デジタル・リマスター盤 『狂気/ピンク・フロイド』を聴く。

結論として、デジタル・リマスターで音質は変わらない。

ビートルズのデジタル・リマスター盤が反響を呼んだ(売るための?)せいか、この9月26日、ピンク・フロイドも同様にして、全アルバムのデジタル・リマスター盤を出した。ただし、ベスト盤などは2か月後のようだが。

そこで私も先日書いたように、試に1枚だけ購入してみた。そのアルバムが、『 THE DARK SIDE OF THE MOON 』(邦題 “狂気”)である。このアルバムは、音楽史上に残る名盤として知られている。

今回、私が購入したのはUK盤であり、オリジナルLPアルバムをミニチュアにしたような、いわゆる紙ジャケ・アルバムである。この紙ジャケ、保存の仕方によってはプラスティックよりも長持ちするらしいが、どうにもCDの出し入れが面倒である。ジャケットのサイズがCDサイズぎりぎりで、おまけにCDスリーブ(ビニールカバー)がついていないので、指紋がつき放題である。

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  (左がUK盤紙ジャケ・アルバム、右は15年位前に“狂気”を録音したMD)


1.Speak To Me  2.Breathe In The Air  3.On The Run  4.Time  5.Great Gig In The Sky  6.Money  7.Us And Them  8.Any Colour You Like  9.Brain Damage  10.Eclipse

私としては、プラスティック・パッケージかデジパックの方が好みである。紙ジャケはタイトルさえも見づらく、目当てのアルバムを探すのにも苦労してしまう。

そんなことは、音質さえよければどうでもいい話になるのかもしれないが、問題なのはその肝心の音質の方である。

あれだけ最新デジタル・リマスターを銘打っておきながら、中身はほとんど変わっていないというのは、いかがなものだろうか。

9月26日に届いたばかりのデジタル・リマスター盤をCDプレーヤーにかけてみたときは、久しぶりにCDで聴いたためか、やはり音がよくなったのかなと感じた。(多くの人はここで満足し、音質がよくなったと思い込んでしまうのではないだろうか。)

しかし、デジタル・リマスターでは、ほとんど音質は変わらないというのが、これまでの経験則であることから、15年近く前、最初に制作された『狂気』のCDをMDに録音したものと比較試聴してみることにした。(上記画像を参照)

MDプレーヤーはDENONのDMD-1800ALで、CDからMDに録音しても音質的劣化は皆無に近いものである。

MDに録音した『狂気』は、このMDプレーヤーから光ファイバー(オプティカル)でACCUPHASE  CDPLAYER DP-500のDACを通して再生し、デジタル・リマスター盤CDはACCUPHASE  DP-500から直接再生する方法で両者を比較試聴してみた。再生スピーカーはKEF205である。

MDとCDの再生の切り替えは、DP-500のCD/PROCボタンで簡単に切り替えられるから、一瞬の時間差で比較できる。それを何度も繰り返してみた。このアルバムには、心臓の鼓動やキャッシャーの作動音など効果音が散りばめられているので、他のCDに比べて比較試聴しやすい。

結果はどうかというと、デジタル・リマスターも15年前に録音したMDも音質に差はなかったのである。このCDもまた、買わなくてもよかった(買って損をした)CDであった。

オーディオ・ファンとしては、できれば以前のCDよりも高音質で聴きたいので、最新デジタル・リマスターなら音質は変わるのだという淡い期待を抱いて試聴してみたのだが、結局期待外れに終わってしまった。

やはり、CDが高音質に変わるのは、XRCD、K2HD、GOLD-CD、HDCD、SHM-CD等の技術や素材でしかないようである。

そして、これから当分の間は、リマスターされたCDが出ても購入しないことに決めた。

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2011年9月25日 (日)

大滝詠一 『 A LONG V・A・C・A・T・I・O・N 』 30th Edition CDとアナログ神話                           

大滝詠一 『 A LONG VAC・ATION 』 30周年記念盤CDとアナログ神話

30周年記念と銘打つからには、私がこのアルバムのLPを購入して、30年以上もの時が過ぎてしまったということになる。

LP発売当初、“はっぴえんど時代”から知っていたあの“大滝詠一”が、こんなPOPで洒落た音楽を作れるとは想像だにしなかった。たぶん、意図的だとは思われるが、“はっぴえんど時代”の楽曲は単調で抑揚のないものが多かった。

しかしながら、ふたを開けてみると、そこには、ビーチ・ボーイズとロイ・オービソンを巧みにパックったようなメロディアスな作品が、ずらっと並んでいたのである。

Dsc08063a

“はっぴえんど”の音楽が好きで購入した人は、さぞ驚いたことだろう。「これが、あの“はっぴいえんど”の大滝詠一なの?」という具合に。

それはともあれ、このアルバムは3度目のイリシューである。そのたびにリマスターして音を変えている。大滝詠一の言によれば、今回のアルバムは、20周年記念盤とは違って、LP当時の音(アナログ)により近づけたとのことである。

このアルバムがCD化されたとき、多くのファンが思ったように、私もCDよりLPの方が音がよかったと思ったものである。

だからこそ、このCDは購入せずにMDに録音したものをコレクションしている。

そこで、その30年以上も前の記憶が、確かであるか否かを検証してみることにした。レコード・プレイヤーは大事にしまっていて、今でも何の遜色もなく、LPを聴くことができる。

ただし、アンプやスピーカーは、当時よりもはるかにグレードアップしている。であるから、当時の記憶よりもいい音がして当然のオーディオ環境となっている。

はじめはプレイヤーのアーム調節に戸惑ったが、無事、音を奏で始めた。「う~む、これがあのときの音に近いものか。まあまあだな」と思いながら、LPの『君は天然色』を聴く。次に、30th記念CDの『君は天然色』を聴く。

Dsc08060a

で、どうだろう。

やはり、LPに比べCDの方が音がいい。よりクリアで音の厚みもある。

次に、『雨のウェンズデイ』をLP、CDと繰り返し聴く。やはり、CDの方が音がいいのであるが、そこで、はたはたと感じたのである。

CDは、楽器が多重になる部分において、楽器の一音一音がよりクリアで重厚になっていることから、刺々しく、うるさく聴こえてしまうのである。(悪く言えば)

つまり、楽器のそれぞれの音が聴こえ過ぎるということである。

LPは、楽器の音全体がぼんやり霞んでいるようで、うるさく聴こえない。要するに、CDよりもマイルドな音に聴こえるのである。(良く言えば)

そのことが、LPの方が音がよかったという記憶に結びついていたものであり、CDの方が音がよくなった分、うるさく聴こえてしまうのが、そう思わせたのではないかと思える。

おそらく、私たちはアナログの音の『曖昧さ』を誤解して、それを『温もり』という言葉で表現しているのに過ぎないのではないだろうか。

そこに、『アナログの温もり神話』が生まれたのではないだろうか。今私は、そのように感じている。

そして、大滝詠一が意図したLPのアナログに近い音は、MDとも聴き比べてみたが、結局のところ初CD化した音と大差ないのである。

ひょっとしたら、30thよりもアナログに近づようと意図していないでリマスターされた20th エディションの方が、音がよかったのかもしれない。

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2011年9月 6日 (火)

デジタル・リマスターで音質は変わらない!? その2

デジタル・リマスターでも、通常のリマスターとは違うDSDマスタリングというものがある。これはSACDを作る前の過程である原盤(スタンパ)作成のためのリマスタリングである。

このDSDマスタリングによってSACDとはならず、通常のCDとなっているものも少なくない。例えば、ダン・フォーゲルバーグの『イノセント・エイジ』(1981年・米)がある。私は、2007年に病気で彼が逝去していたとは知らずにいたのであるが、最近そのことを知り、哀悼の意味を込めて新しくなったCDで聴きなおしてみようと、2008年4月にDSDマスタリングされた『イノセント・エイジ』を通販で取り寄せたのである。

現在、ダン・フォーゲルバーグという名はあまり知られていないと思うが、彼のこのアルバムの「懐かしき恋人の歌」、「バンドリーダーの贈り物」、「バラに向かって走れ」などは彼独特の優しさが満ち溢れており、フォーク・カントリーとでもいうのだろうか、素晴らしい名曲が数多く収められている。あまたあるアルバムの中でも、傑作中の傑作であると豪語しもいいくらいである。

01_3 [Disc 1]
  01.光年の果てに 02.イノセント・エイジ 03.幻の旅路 04.イン・ザ・パッセージ
  05.ロスト・イン・ザ・サン 06.バラに向かって走れ 07.バンド・リーダーの贈りもの
  08.懐かしき恋人の歌 
 [Disc 2]
  01.ストールン・モーメント 02.ライオンズ・シェア 03.流れ星のバラッド
  04.妖精の港 05.魂の嘆き 06.時の流れを超えて 07.風に呼ばれた恋
  08.虚な翼 09.ゴースト

当初、『イノセント・エイジ』は2枚組の分厚いケースに入っていたが、リマスター盤はスリムなケースになっている。さて、肝心の音質はというと、DSDマスタリングと銘打っているため期待したのであるが、旧アルバムと音質はほとんど変わらなかった。

変わったところと言えば、音圧が高くなったのと、僅かながらアナログ的なまろやかさになった(デジタル臭さがなくなった)という印象だけである。それが、決していい音になったというわけではない。SACDはデジタル波形をアナログ波形に近づけようとしているのだから当然の結果と言えるのだが、デジタル臭さが取れてアナログに近づけばいい音になるのかというのははなはだ疑問である。

本来いい音にするためにデジタル化したのであるから、それをアナログに近づけようとするのは本末転倒ではないか。デジタル映像を観た人が、さらにいい画質にしようとアナログ画像に近づけようとするものだろうか。

何度もことわっているが、あくまでもこれは私見である。人それぞれの聴き方によって違いが生じるのはもちろんであろうが、リマスタリングに詳しい人たちもDSDマスタリングについて同様の意見を述べているようで、DSDマスタリングされた通常CDとSACDを聴き比べてもその違いはほとんどわからなかったとも言っている。ということは、SACDの音質も騒がれているほどの高音質ではないのではないだろうか。

このCDもまた、買わなくてもよかったCDであった。

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