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2009年6月

2009年6月30日 (火)

マイケル・ジャクソン~早すぎた夭折

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最近、このブログは、『死』に関する話題ばかりだが、今日もその例外ではない。

6月25日、マイケル・ジャクソンが急死したのは既に誰もが知っているところである。しかし、マイケル・ジャクソン個人のことを誰もが知っていたわけではないだろう。

おそらく、彼の精神と肉体はもうボロボロになっていたに違いない。スーパー・スターとしての立場、資産、負債、結婚、離婚、裁判などなど…に翻弄された人生はある意味では悲劇であり、またある意味では喜劇的でさえある。

そして、彼の早すぎる死は、死としては最低とは言えないにしても、彼の生涯を飾るにはふさわしくないものになった。

また、50歳過ぎているから「夭折」という言葉も、本当は、ふさわしくないのかもしれない。

私が、マイケル・ジャクソンを知ったのは、もちろんジャクソン5であったが、彼の歌に気をとめたのは、映画『ウイラード』(1971年・米)の主題歌「ベンのテーマ」からであった。この曲は、マイケル・ジャクソンの作った曲ではないが、彼がソロで歌って初めての全米№1を獲得した曲である。その後の彼のヒット曲の中でも、最も心にしみる曲ではないだろうか。

そして、この映画『ウイラード』は、彼の人生そのものを象徴しているかにも思えてしまう。

主人公のウイラードは気弱で人付き合いが苦手青年。父親は会社の社長だったが、アルという男に乗っ取られて死んだ。そしてウイラードは、アルが経営しているその会社に勤めていた。アルの執拗なイジメにあいながらも、年老いた母親(ヘンリエッタ)との生活を守る為、ウイラードは黙々と会社勤めを続けていた。同僚で恋人のジョーンだけが彼を支えていた。

ある休日、ウイラードは母親からネズミ退治を頼まれたが、殺す事が出来ず、密かにパン屑を与えて飼いはじめた。やがてウイラードはネズミたちを自由に動かす事を目指し、調教を始めた。そのネズミたちの中に、目だった印象の白いネズミと黒いネズミがいた。ウイラードは白いネズミをソクラテス、黒いネズミをベンと名づけて可愛がり、やがて会社にも連れて行くようになった。だが、倉庫に隠していた2匹のうちソクラテスが見つかってしまい、アルに撲殺されてしまった。ウイラードはベンとともに復讐を誓い、その夜、数百匹のネズミとともに会社に向かった。

だが、その復讐劇は、ウイラードにとっても悲劇の始まりだった…フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から

ところで、全米では、マイケル・ジャクソンのCDが売れに売れているらしい。既に、彼のほとんどのCDは売れ切れ、ソニー・ミュージックに生産を急がせてるという。私は1億枚以上も売れた『スリラー』(1982年)を発売当初にレコードで購入した1人だが、7月22日に発売される 『Michael Jackson / The Essential』(Blu-spec CD)を予約した。

Photo_2 <Disc 1>
1. I Want You Back
2. ABC
3. The Love You Save (Album Version)
4. Got To Be There (Single Version)
5. Rockin' Robin (Album Version)
6. Ben (Single Version)
7. Blame It On The Boogie (Album Version)
8. Shake Your Body (Down To The Ground) (Single Edit)
9. Don't Stop 'Til You Get Enough (2003 Edit)
10. Off The Wall (Album Version)
11. Rock With You (Album Version)
12. She's Out Of My Life (Album Version)
13. Can You Feel It (Single Version)
14. The Girl Is Mine (Album Version)
15. Billie Jean (Album Version)
16. Beat It (Album Version)
17. Wanna Be Startin' Somethin' (Album Version)
18. Human Nature (Album Version)
19. P.Y.T. (Pretty Young Thing) (Album Version)
20. I Just Can't Stop Loving You (Album Version)
21. Thriller (Album Version)

<Disc 2>
1. Bad (Album Version)
2. The Way You Make Me Feel (Album Version)
3. Man In The Mirror (Album Version)
4. Dirty Diana (Album Version)
5. Another Part Of Me (Album Version)
6. Smooth Criminal (Album Version)
7. Leave Me Alone (Album Version)
8. Black Or White (Single Edit)
9. Remember The Time (Album Version)
10. In The Closet (Album Version)
11. Who Is It (7" Edit)
12. Heal The World (Album Version)
13. Will You Be There (Album Version)
14. You Are Not Alone (Album Version)
15. Blood On The Dance Floor (Album Version)
16. One More Chance (Album Version)
17. You Rock My World

発売日に届くかどうか心配もあるが、どれだけ高音質になっているか、それが楽しみだ。

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2009年6月22日 (月)

桜桃忌~太宰治・生誕100年

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6月19日、太宰治の生誕100年を迎えた。

1週間前に太宰治のことでも書こうかと思っていいたら、もうすぐ100年だということだった。

太宰の命日は『桜桃忌』と呼ばれるが、死の直前の彼の作品「桜桃」にちなんで名づけられた。

6月19日は、太宰の誕生日でもあり、昭和23年6月13日に入水自殺した玉川上水で彼の遺体が発見されたのも、6月19日であった。

私は学生時代に太宰の作品を好んで読んでいた時期がある。彼の作品を一口で言えば、「デカダンと優しさ」だと言えるのではないだろうか。

また、太宰の文体は、やたらと読点が多く、時々辟易させられるが、それがリズミカルに思えることもある独特の文体である。それは、太宰が口述により、彼の妻に文章を記述させた影響かもしれない。

ところで、太宰と言えば、私が真っ先に思い浮かべるのは、永井龍雲の『桜桃忌』の曲と詩である。

襟元に吹く風が 心地よく肌になじむ

衣替えが恋しく思える 今年も夏が来た

本棚の片隅に あなたから借りた太宰

いたずらにページをめくれば つたない走り書き

あなたは 他の誰よりも 素直に生きていたわ

ただ ほんの少し先を 急ぎすぎただけのこと

芥川賞受賞に執着した太宰治。確かに彼は先を急ぎすぎた。生まれる時代も早すぎた。もう少し後に生まれていたならば、押しも押されもせぬ芥川賞作家になっていたに違いない。

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2009年6月 8日 (月)

ロマン派と象徴派の画家たち 4

ミレイ (ジョン・エヴァリット・ミレイ 1829-1896 英国)

オフィーリア(1852年 油彩)

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ミレイはロイヤル・アカデミーで知り合ったロセッティらとともに、ラファエル前派を結成した。そして、そのラファエル前派はヴィクトリア時代のイギリス美術に一つの改革をもたらしたのである。彼の細密克明な自然描写と甘美な女性像はあまりに鮮烈である。

私は、このオフィーリアの絵をデスクトップの壁紙にしている。横長のディスプレイにはピッタリだと思うのだが、どうだろう。

オフィーリアの出展は、もちろんシェークスピアの戯曲『ハムレット』からである。オフィーリアは、愛するハムレットに父親を殺害された上に、ハムレットにも棄てられたと思い気がふれてしまう。

そして、川辺で花を摘んでいるうちに足を滑らせ、転落してしまうのである。オフィーリアは、しばらくの間は賛美歌を歌いながら川面に浮いているのだが、やがて水没する。

あまりに哀れな最期を遂げたオフィーリアの死を、ミレイはこの絵において、象徴的に描ききったのである。

ミレイのオフィーリアのモデルは、彼の友人でもあるロセッティが後に妻とするエリザベス・シダルであり、彼女はラファエル前派の画家たちに人気のモデルだったが、睡眠薬の常用のし過ぎで32歳の若さで他界した。

一説では、シダルはこの絵のモデルで何度もバスタブにつかり、そのせいで風邪をこじらせ、死に至ったとも言われている。

オフィーリアとシダル。今では、この絵に二人の女性の死を重ね合わせて観ることができるというのは、まさに神話めいている感がある。

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2009年6月 1日 (月)

ロマン派と象徴派の画家たち 3

キリコ (ジョルジョ・デ・キリコ 1888-1978 イタリア)

街の神秘と不安(1914年 油彩)

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キリコは、自ら形而上絵画と称した。そして、その時、彼は形而上絵画の創始者となった。

キリコがシュルレアリスムに影響を及ぼしたことは周知の事実であり、ダリの初期の作品を観ても、キリコの影が色濃く漂っている。

そもそも形而上とは、時間と空間の概念を越えた超自然的な観念の世界ものであり、形而下の現実では形を成さないものをいう。

キリコは、形を成しえないものを絵画や彫刻という形によって表現しようとした。それは、象徴としての絵画・彫刻であり、キリコもまた象徴派の一人に数えられる所以でもある。

ところで、キリコは『街の神秘と不安』で何を表現しようとしたのだろうか。

白亜の建造物にまぶしいくらいに照りつける光、広場に通じるであろう道にも同じく強い光が立ち込める。

その光のせいか、建物の裏側は薄暗さが増す。空は青いが、白亜の建造物を照らす光とは裏腹に薄暗く光の存在感はない。

輪回しで無邪気に遊ぶ少女は逆光の中で描かれる。その表情は見えない。おそらく、輪を回し続けることに夢中で、その先に忍び寄る戦争の影は見えていないのだろう。

1914年、第一次世界大戦の勃発したこの年、イタリアではファシズムが少女の先に忍び寄る影の如く芽吹きはじめる。

果たして、少女はこのまま広場にたどり着き、そして無事に家路へとたどることができるのだろうか。

私がキリコの作品の中で、最も惹かれるのはこの絵である。輪回しの少女とその先に待ち構える影が、何とも言えない漠とした不安を醸し出す。

それは、そこに「無邪気な生」と手をこまねいて待つ「悲惨な死」が、一つの絵に封印されているからに他ならない。

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