名曲・名盤

2009年10月13日 (火)

Takuro Premium 1971-1975/ 吉田拓郎

Cimg3032a_210月7日にBlu-spec CDで発売された吉田拓郎 の『Takuro Premium 1971-1975』を購入した。

このBOXセットは拓郎がソニーミュージック時代に残した名盤、『元気です』、『伽草子』、『Live ’73』、『今はまだ人生を語らず』の4枚のオリジナル・アルバムにシングル集1枚が収められている。

確かに、拓郎ファンにとってはすべて持っているアルバムかもしれない。しかし、このアルバムはBlu-spec CDとして高音質化されている。

今後、これ以上の高音質CDは当分でないだろう。だとしたら、いくら違うタイトルのアルバムと曲目がダブっていたとしても、拓郎ファンなら買うしかないではないか。

しかし、残念ながら、『今はまだ人生を語らず』の1曲目に当然収められているであろう「ペニーレインでバーボン」は「つんぼ桟敷」という差別用語が含まれているというつまらない理由からかCUTされている。

そんなことが、まかり通っているとは、つい最近まで知らなかったことだ。優れた映画作品は、台詞の中に差別用語が含まれていても、オリジナルのままで放映されているではないか。また、60年代から70年代にかけて放送禁止歌として放送禁止、発売禁止となった曲も、最近になってCD化され、復活しはじめている。そんな時期に、「ペニーレインでバーボン」がCUTされたままとは、ソニーミュージックのだらしなさが窺えなくもない。

それはそれとして、ともあれ高音質化されて、1曲1曲にこれまで感じなかった懐かしさがよみがえる。拓郎の曲がギターで弾けるように耳をそばだてコピーしていたころ、才能もなくシンガー・ソングライターになりたいなどと思っていたころのことなどなど…。

もっとも当時は、レコードでありステレオ・セットも今ほど高性能でないから、1曲1曲に新しささえも感じさせてくれるのは不思議なことでもあり、嬉しくもある。

そして、幸せな気分に浸れる自分だけの世界が、そこに現出するのである。

『Takuro Premium 1971-1975』

『元気です』
1. 春だったね 2. せんこう花火 3. 加川良の手紙 4. 親切 5. 夏休み 6. 馬 7. たどり着いたらいつも雨降り 8. 高円寺 9. こっちを向いてくれ 10. まにあうかもしれない 11. リンゴ 12. また会おう 13. 旅の宿 (アルバム・バージョン) 14. 祭りのあと 15. ガラスの言葉

『伽草子』
1. からっ風のブルース 2. 伽草子 3. 蒼い夏 4. 風邪 5. 長い雨の後に 6. 春の風が吹いていたら 7. 暑中見舞い 8. ビートルズが教えてくれた 9. 制服 10. 話してはいけない 11. 夕立ち 12. 新しい朝

『Live ’73』
1. 春だったね ’73 2. マークII ’73 3. 君去りし後 4. 君が好き 5. 都万の秋 6. むなしさだけがあった 7. 落陽 8. 雨が空から降れば 9. こうき心 ’73 10. 野の仏 11. 晩餐 12. ひらひら 13. 望みを捨てろ

『今はまだ人生を語らず』
1. 人生を語らず 2. 世捨人唄 3. おはよう 4. シンシア 5. 三軒目の店ごと 6. 襟裳岬 7. 知識 8. 暮らし 9. 戻ってきた恋人 10. 僕の唄はサヨナラだけ 11. 贈り物

『シングル集』
1. 今日までそして明日から 2. ともだち (LIVE) 3. 結婚しようよ 4. ある雨の日の情景 5. 旅の宿 (シングル・ヴァージョン) 6. おやじの唄 7. おきざりにした悲しみは 8. 花酔曲 9. 伽草子 10. こんなに抱きしめても 11. 金曜日の朝 12. 子供に 13. シンシア 14. 竜飛崎

それから、このブログでもよく検索されている拓郎のあの幻の名曲 『君うるわしのかんばせ』が、ラジオで放送されたデモ・テープを録音したもののようで音質は悪いのだが、YOU-TUBEにアップロードされていたので、ここに記録しておく。《折角の名曲、アップロードした方の映像センスがないのが残念だが…》

|

2009年5月 7日 (木)

拓郎の超レア楽曲~YOU TUBEから~

またまた吉田拓郎であるが、63歳で新作のアルバム『午前中に』が最年長記録でベスト10入りを果たしたという。そんな記録はどうでもよいことだが、このアルバムは小説にたとえると私小説である。拓郎の今の心境がそこはかとなく伝わってくる。そして、その心境は私たちにも共鳴してやまないのである。

ところで、5月5日、NHK-FMで午後1時から午後11時にかけて、『拓郎三昧』と銘打って放送された。他のアーチストたちに提供した曲も特集するということで、私は「君うるわしのかんばせ」の改訂版で、清水健太郎の「さらば」をリクエストしたがかからなかった。もちろん私は、清水健太郎のファンでも何でもない。ただ、拓郎が提供した曲の中でも貴重な作品であり、何と言っても楽曲がいいからだ。

拓郎三昧』では、約10時間近くにわたって77曲(重複あり)がかかったが、拓郎が他のアーチストなどに提供した曲は、「全部抱きしめて」と「風になりたい」くらいのものであった。また、特別めずらしい音源もなかった。中でも、過去にNHK・スタジオで収録されBS2で放映された「落陽」のテープ音源が出色のできであったが、これはすでに私も録画済みのものである。

そのあと、YOU TUBEを観ていると拓郎の超レアな音源が見つかったので、ここに記録しておく。

 (フジカラーCM 『いま、このときめきを』 作詞・作曲・吉田拓郎 歌・沢田研二)

(フジカラーCM 『Have A Nice Day~天然色写真編』 作詞・作曲・歌 吉田拓郎)

 

(フジカラーCM 『Have A Nice Day』 作詞・作曲・歌 吉田拓郎)

(LIVEのみで歌った曲 『僕の1番好きな歌は』)

(LIVEのみで歌った曲 『都道府県』)

(LIVEのみで歌った曲 『家族』)

|

2009年2月22日 (日)

よしだたくろう『ともだち』~HiQualityCD

Tomodati

01 おろかなるひとり言
02 マークⅡ
03 もう寝ます
04 老人の詩
05 私は狂っている
06 何もないのです
07 やせっぽちのブルース
08 されど私の人生
09 わっちゃいせい
10 夏休み
11 面影橋
12 イメージの詩
13 ともだち

1972年6月27日にエレックレコードから発売された,《よしだたくろう・オン・ステージともだち』》が、2月18日、HiQualityCDの高音質になって甦った。このアルバムは、吉田拓郎初のライヴ・アルバムであり、当時、高校生だった私は、何度も何度も聴き返し、ギターやブルース・ハーフの演奏の仕方をコピーしたものだった。

当時のギター小僧たちにとって、お手本のようなアルバムでもあったのだが、このアルバム、かつてのライヴ・アルバムと違うところは、いわゆる“トーク(語り)”が多く収められていることである。拓郎の曲間の会話が面白い。今では、それもごく普通のことかもしれないが、これも拓郎以降の話である。その意味においても邦楽の歴史的名盤と言える。

このアルバムを機に、様々なミュージシャン、アーティストが、コンサートでのトークを大事にするようになったと言っても過言ではないだろう。

さて、本作のHiQualityCD化について、私個人としては大変歓迎するものであるが、録音自体があまりよくないものをHiQualityCD化しても、初めて聴くひとにはいい音には聴こえないのではないかという疑問も残る。

確かに、HiQualityCD化によって、「ともだち」は甦り、肝心のヴォーカル、ギターの音質も見違えるようになっている。おかげで、私は胸の高鳴りを感じながら、熱い想いで聴くことが出できた。

また、「ともだち」で、ミニバンドがコーラスを担当している歌詞は、LPではわからなかったがHiQualityCDではよくわかるようになっている。

ただし、いい音になった半面、録音レベルの不安定さや観客の拍手の音が意図的に挿入されているのがよくわかるのである。

この作品の「イメージの詩」、「夏休み」、「ともだち」は名曲に違いないし、斉藤哲夫のカヴァー曲「されど私の人生」は、斉藤哲夫よりも拓郎の方がいい味を出していると私は思う。もっとも、このアルバムによって斉藤哲夫の名が世に知られるようになったのは事実であり、その点は斉藤哲夫自身が語っていたところである。

闘病生活を続けていた拓郎もエイベックスに移籍し、4月にニューアルバムを出す予定だとか。『ともだち』のHiQualityCD化に限らず、SHM-CD、Blu-specCDなどの高音質技術の評価が高まっている今、拓郎のこれまでの全アルバムが高音質化されることを望んでいるのは、私だけではないだろう。

|

2009年2月15日 (日)

B・スプリングスティーン 『Working On A Dream』を聴く。

Bruce

BRUCE SPRINGSTEEN 『Working On A Dream』

1.Outlaw Pate 2.My Lucky Day 3.Working On a Dream 4.Queen of the Supermarket 5.What Love Can Do 6.This Life
7.Good Eye 8.Tomorrow Never Knows  9.Life Itself 10.Kingdom of Days  11.Surprise,Surprise  12.The Last Carnival 13.The Wrestler
 

ここのところ、1月27日に発売されたブルース・スプリングスティーンの『Working On A Dream』(USA盤)を聴き続けている。

久しぶりに新作といえるアルバムを購入した。それも、B・スプリングスティーンとなると『ボーン・イン・ザ・USA』以来である。既に私の中では名盤なのであるが、この作品は真の名盤として音楽史に残るのではないだろうか。

このアルバムを買ってみようと思ったのは、ここのところ、彼の出ている映像をよく目にしたからかもしれない。

まずは、1月24日、WOWOWで放送されたオバマ大統領就任記念コンサートでB・スプリングスティーンがトップで「The rising」を歌い、1月27日、ベストヒットUSAで「Working On A Dream」のPVが流れ、1月30日、NHK-BS2で放送されたゴールデングローブ賞授賞式にミッキー・ロークと同じテーブルに座っていて、ミッキー・ロークが主演男優賞を受賞し、B・スプリングスティーンが大喜びしていた映像を見たこと。更に、彼のニュー・アルバムのジャケットを見て、何かを感じたことからである。

このアルバムは、「Can you hear me?」(俺の声が聞こえるかい?)と繰り返す冒頭の「Outlaw Pate」から引きずり込まれる。そして、13曲目の「The Wrestler」(ボーナス・トラック…ゴールデングローブ賞のオリジナルソング賞を受賞)に至るまで、粒ぞろいの傑作ばかりである。それに、これまでのB・スプリングスティーンの作品と比べて、よりメロディアスになっていて、聴きやすく、曲がストレートに入ってくる。こんな彼のアルバムは、最近なかったのではないだろうか。

どちらかというと、『ザ・リバー』(1980年)当時に戻っていると言った方がいいかもしれない。個人的には、このアルバムの「ザ・リバー」と「ハングリー・ハート」の2曲がB・スプリングスティーンのベストだと思っているのだが、この2曲は“静”と“動”の対極的な作品となっている。

そして、この2曲は、『Working On A Dream』の中の、「The Last Carnival」と「Working On A Dream」の関係によく似ているような気がするのである。「The Last Carnival」を聴いたときに、まず思い浮かべたのは、「The River」であり、「Working On A Dream」は「Hungry Heart」であった。もちろん、歌っている内容は違うであるが、そう私は感じたのである。

「Working On A Dream」

ここでは夜は長く 昼は孤独 おまえのことを思っている

夢を追い続けている 夢を叶えようと努力している

俺が引いたカードはひどかった でも俺は背筋を伸ばし

夢を追い続けている 夢を叶えようと努力している

                                             

夢を追い続けている 時にはとても遠くに感じられるが

夢を叶えようと努力している いつの日か手に入れられるはず

土砂降りの雨の中 ハンマーを打ち下ろす手は荒れてしまった

夢を追い続けている 夢を叶えようと努力している…

(対訳:ベストヒットUSAから)

今私は、このアルバムをウォークマンに入れて、毎日の通勤の途上で、リピート設定して聴いている。2月9日(米時間2月8日)に、グラミー賞の発表があったばかりであるが、来年のグラミー賞には、きっとこのアルバムが、多くの賞を獲得することになるだろう。

|

2009年2月 1日 (日)

ビリー・ジョエル、J.D.サウザーのBlu-spec CDなど

1月21日発売のBlu-spec CD、

ビリー・ジョエルストレンジャー(THE STRANGER)』、J.D.サウザーユア・オンリー・ロンリー(YOU'RE ONLY LONELY)』、ボズ・スキャッグスシルク・ディグリーズ(SILK DEGREES)』、シャーデーダイアモンド・ライフ(DIAMOND LIFE)』

そして、同じくSHM-CD、

ドナルド・フェイゲンナイトフライ(The Nightfly)』、ニール・ヤングアフター・ザ・ゴールド・ラッシュ(AFTER THE GOLD RUSH)』

の計6枚を購入し、現在聴いている。

この6枚、すべて名盤であり、初めて聴いたとしても音楽心のある人ならば“名盤”ということに頷くであろうし、“名盤”の名に恥じない歴史的名品である。

高音質になってあらためて聴くと、更にこの“名盤”に心うたれてしまう。それは、いま聴いても聴くに値する“名盤”ということでもある。

そして、当然のように、そこには名曲が収められている。

○ J.D.サウザーユア・オンリー・ロンリー

Jd1. ユア・オンリー・ロンリー
2. イフ・ユー・ドント・ウォント・マイ・ラブ
3. ラスト・イン・ラブ
4. ホワイト・リズム&ブルース
5. ティル・ザ・バーズ・バーン・ダウン
6. ムーン・ジャスト・ターンド・ブルー
7. ソングス・オブ・ラブ
8. フィフティーン・バックス
9. トラブル・イン・パラダイス

なかでも私が一番好きな曲は、J.D.サウザーのアルバム・タイトル・チューン「ユア・オンリー・ロンリー」である。この切なさ、ほろ苦さ、甘いメロディ、優しい歌声は、まさに癒しのひと時をあたえてくれる。

世界が君の小さな肩に崩れ落ちようとし、そして、孤独でちっぽけな存在に感じるとき、君を抱きしめてくれる人が必要なんだ。君が孤独なときには、ぼくの名前を呼んでもいいよ。恥ずかしくなんて思わなくていいさ。君は、ただ孤独なだけなんだよ。

という歌詞は、一見平凡なラヴ・ソングに思えるが、そこには、男でなければできない優しさが満ちあふれているのである。このアルバムは佳曲ぞろいであるが、忘れてはならないのは、「ホワイト・リズム&ブルース」である。この曲は、当時J.D.サウザーの恋人リンダ・ロンシュタットが歌ってヒットしたが、もちろんJ.D.サウザーのオリジナルである。

そう言えば、J.D.サウザーは、昨日、WOWOWで放送していたスティーヴン・スピルバーグ監督の『オールウェイズ』の中で「煙が目にしみる」を歌っていた。

J.D.サウザーは、「もう一人のイーグルス」とか「6人目のイーグルス」などと呼ばれ、イーグルスの「ドゥーリン・ドルトン」、「我が愛の至上」、「ニュー・キッド・イン・タウン」、「ハートエイク・トゥナイト」などは彼の曲であり、新生イーグルス 『ロング・ロード・アウト・オブ・エデン(Long Road Out Of Eden)』からのファースト・シングル「ハウ・ロング」もそうである。

○ ニール・ヤングアフター・ザ・ゴールド・ラッシュ

Neil_2

1.テル・ミー・ホワイ
2.アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ
3.オンリー・ラヴ
4.サザン・マン
5.やがて朝が…
6.オー・ロンサム・ミー
7.ブリング・ユー・ダウン
8.バーズ
9.アイ・キャン・リアリー・ラヴ
10.アイ・ビリーヴ・イン・ユー
11.壊れた渡し船

ニール・ヤングの「オンリー・ラヴ(・キャン・ブレイク・ユア・ハート)」も思わず涙を流してしまいそうな名曲である。こちらはラヴ・ソングというよりも、恋愛の非情さを歌ったものであり、恋に傷ついた友を救おうとする“友情”を歌ったものであるが、ニール・ヤングの独特の脆弱な歌声が何とも涙を誘ってしまう。

ニール・ヤングには、この後の『ハーヴェスト』に、「孤独の旅路」という名曲があるが、この「オンリー・ラヴ」と甲乙つけがたい。

○ ボズ・スキャッグスシルク・ディグリーズ

Boz1. 何て言えばいいんだろう
2. ジョージア
3. ジャンプ・ストリート
4. あの娘に何をさせたいんだ
5. ハーバー・ライト
6. ロウダウン
7. イッツ・オーヴァー
8. 明日に愛して
9. リド・シャッフル
10. ウィアー・オール・アローン

そして、ラヴ・ソングで忘れてはならない名曲中の名曲が、ボズ・スキャッグスの「ウィアー・オール・アローン」である。この曲は、日本ではリタ・クーリッジのものの方が知られているかもしれない。もちろん、ボズ・スキャッグスのオリジナルである。

外では雨が降り出し、どうやらやみそうにない。だから、もう泣かないで。海岸に思いを馳せれば、夢は僕らを遠くの海へと運んでくれる。果てしなく、どこまでも…。波間をくぐり、ずっと忘れられていた二人だけの空間を抜ければ、僕らは二人きり、二人きりなんだ・・・。

当時、ニューヨークの伊達男(~私から見ると、とても伊達男には見えないのだが)と評されたボズの歌声に多くの女性が共感を覚えたに違いない。私はこの1曲を高音質で聴きたいがために、このアルバムを買い求めたのである。

○ ビリー・ジョエルストレンジャー

Billy1.ムーヴィン・アウト
2.ストレンジャー
3.素顔のままで
4.イタリアン・レストランで
5.ウィーン
6.若死にするのは善人だけ
7.シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン
8.最初が肝心
9.エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム
 

ビリー・ジョエルのアルバム・タイトル・チューン「ストレンジャー」は、日本で大ヒットした。それも、アメリカではシングル・カットされず、日本でのシングル・カットというから、やはり国によって、うける曲、うけない曲などの好みはあるのだろう。

口笛で始まるイントロ、そして、そのあとのテンポのいい快調なメロディは、まさにスタイリシッシュという名がふさわしい名曲である。本国アメリカでは「素顔のままで」が大ブレイクし、映画の挿入歌として盛んに使われた。

このころ70年代のビリー・ジョエルこそが、都会的に洗練されたビリー・ジョエルであると私は思う。80年代に入ったビリー・ジョエルは、曲自体は大ヒットしたのだが、どこか泥臭さが漂っていた。もちろん、好き嫌いは人の好みでしかないので、それによって価値が下がるというものではないのであるが…。

そして、スタイリッシュの最たる2枚が、シャーデー『ダイアモンド・ライフ』とドナルド・フェイゲン『ナイトフライ』である。

○ シャーデーダイアモンド・ライフ

Sade

1:スムース・オペレーター
2:ユア・ラヴ・イズ・キング
3:ハング・オン・トゥ・ユア・ラヴ
4:フランキーズ・ファースト・アフェアー
5:メイク・ア・リヴィング
6:チェリー・パイ
7:サリー
8:アイ・ウィル・ビー・ユア・フレンド
9:ホワイ・キャント・ウィ・リヴ・トゥゲザー

シャーデーは、そこにゴージャスかつミステリアスな雰囲気が漂う。シャーデーは女性ヴォーカリストでソング・ライターのシャーデー・アデュを中心としたバンドであり、ソロ・シンガーではない。もっともソロでも変わらないかもしれない。(今ではソロになっている)

このアルバムからは、「スムース・オペレーター」、「ユア・ラヴ・イズ・キング」、「チェリー・パイ」、「ハング・オン・トゥ・ユア・ラヴ」、「サリー」などほとんどの曲がヒットしたが、「スムース・オペレーター」を初めて耳にした時の衝撃は忘れられない。

シャーデー・アデュはナイジェリア人、その独特の歌声にはソウルとジャズテイストがあり、Blu-spec CD化により、更に魅力を増した感がる。ただし、初めて聴いた人は、このアルバムの写真のシャーデー・アデュを想像して聴くのが一番であり、けっしてLIVEを見てみようと望まない方がいいだろう。実際のシャーデー・アデュは、口がばかでかく、こんなに美人ではないので、きっと失望するだろう。かく言う、私もその一人だから…。

○ ドナルド・フェイゲンナイトフライ

Donald

1.I.G.Y.
2.グリーン・フラワー・ストリート
3.ルビー・ベイビー
4.愛しのマキシン
5.ニュー・フロンティア
6.ナイトフライ
7.グッドバイ・ルック
8.雨に歩けば

最後に、ドナルド・フェイゲンの『ナイトフライ』であるが、このミュージック・センスあふれたアルバムは、スティーリー・ダンから一歩跳び越えた魅力がある。

このアルバムからは、「I.G.Y」、「ニュー・フロンティア」がヒットしたが、8曲全て傑作であり、これらの曲をロック、ジャズ、ポップスなどのジャンルでは括り得ないプラスαの魅力を持っている。その中でも、私は「愛しのマキシン」が好みである。音質的には、6作品の中で、この『ナイトフライ』が最も高音質であり、聴いていて心地よい。

『SHM-CD』と『Blu-spec CD』、立ち上がりの早かったSHM-CDは、3月発売予定を含めて今や2400タイトルを超える数になっている。一方、Ble-spec CDは昨年の12月に発売開始されたばかりだが、名盤を中心にBle-spec CD化を図っている。

今後、どんなアルバムが取り上げられていくか楽しみであるが、邦楽に重点を置いている(?)『HQCD』の今後に期待したい。

ただ、ひと言、『SHM-CD』、『Ble-spec CD』、『HQCD』を制作されている方に申し添えたいことがある。それは、更なる音質向上のため、洋楽は日本盤のマスターを使わずに洋盤のマスターを使って欲しいということ。

|

2009年1月12日 (月)

名曲『People Get Ready』 と小坂忠

カーティス・メイフィールド率いるインプレッションズが歌った名曲『People Get Ready』(1965年)は、当時黒人の参政権を訴える公民権運動、黒人解放運動の中で人々に浸透し、歌い継がれて行くことになる。

People

『People Get Ready』(ピープル・ゲット・レディ)は

人々よ準備をして、列車に乗り込もう。荷物も切符もいらない。ただ神に感謝すればいいんだ。

という内容の歌であり、神の前では皆一人の人間であり、信じる心さえあれば救われるという虐げられた黒人たちの希望が込められている。

この曲は様々なアーティストがカヴァーをしているが、日本で知られるようになったのは、ジェフ・ベックのアルバム『flash』(1985年)でロッド・スチュワートが歌ってCMなどに使われてからだろう。ハスキー・ヴォイスで情感たっぷりに歌い上げるロッド・スチュワートとジェフ・ベックの鳴きのギターのハーモニーが素晴らしい。

Photo_2

以前、私はこの曲をCDで聴きたくて、ロッド・スチュワートのアルバムを探したが、日本盤ではどこにも収められていない。ジェフ・ベックの『flash』を購入すればいいのだろうが、どうせならロッドの『Downtown Train』なども入ったCDが欲しいということで、ネットで探してみると、あったのである。アメリカ盤でアルバムタイトルが『Downtown Train』、その中の1曲に収められていた。

そして、忘れてはならないのは、ボブ・マーリーのあの名曲『One Love』である。この曲の副題は「People Get Ready」である。ボブ・マーリーが、『People Get Ready』に触発されて作った曲が『One Love』であり、メロディ・ラインは違うが

一つの愛、一つの心、みんな一緒に幸せになろう。神に感謝を捧げよう。そうすれば僕も満足だ。

というような詩の内容には、両者通じるものがあることは確かである。

そこで小坂忠の登場であるが、私が『People Get Ready』をこのブログに書いてみようと思ったのは、1月10日、WOWOWで放送していた『soft edge~Winter Rhythm Selection 静寂と音楽の境で~』 という番組のトリを飾って小坂忠が登場し、『People Get Ready』を歌ったからだ。

小坂忠は、現在牧師とミュージシャンを兼業しているらしく、『People Get Ready』の詩を考えれば牧師だということにも納得できるが、現在もなおミュージシャンでいたことを私は知らなかった。いや、知らなかったというより、小坂忠の存在を忘れていたという方が正しいだろう。

小坂忠は、このブログのタイトル『風街浪漫』を名づけるもとになった『はっぴいえんど』の前身で、細野晴臣松本隆柳田ヒロなどで結成された『エイプリル・フール』からソロに転じたシンガーソングライターであり、私が小坂忠を知ったのは、彼が1971年にアルバム『ありがとう』を出してからだ。

Photo

当時、私は高校生で、『ありがとう』をステレオで聴いていた時に、父が「何だこんなの歌じゃない」といって蔑んだのを思い出す。私としては、「あんたに音楽の何がわかるのか」と問いただしかったが、口にはしなかった。

この『ありがとう』の中に私が邦楽の名曲だと思える「機関車」という曲がある。

忘れものは もうありませんねと 機関車は走るのです

君はいつでも僕の影を踏みながら 先へ先へと走るのです

目がつぶれ 耳も聞こえなくなって それに手まで縛られても…

どこか、最初のフレーズが『People Get Ready』に通じるものがあるように思えるのだが、私の深読みのしすぎではないだろう。

|

2008年2月 6日 (水)

『風になりたい』 川村ゆうこ~再び

Cimg0201aここ1か月ほど、このブログで、「川村ゆうこ 風になりたい」のフレーズでの検索が圧倒的に多い。

風になりたい』がリリースされたのは1976年のこと、今から30年以上も前の話だ。

当時、川村ゆうこは、拓郎、陽水、泉谷、小室の4人が立ち上げたばかりのフォーライフ・レコードの有望新人としてデビューした。

もちろん、ファースト・シングルは『風になりたい』(作詞・作曲 吉田拓郎)である。

川村ゆうこは、決して美人ではないが、やや鼻にかかった幾分投げやり的な歌声が、『風になりたい』の或る一つの別れから自立しようとする主人公の心をうまく表現していた。

この曲は、彼女のデビューアルバムにして、最後のアルバムとなった『こんなに空が青くては』にも収められている。フォーライフ・レコードが、満を持して送り出した彼女は短命に終わったが、どうやら記憶に残るシンガーとなったらしい。

このアルバムに参加しているミュージシャンたちもすごいのだが、一応彼女自身もアルバムタイトル曲などを作詞・作曲している。が、しかし、このアルバムに収められている曲で私の記憶に残っている曲は、『風になりたい』の他は、『大晦日』(作詞・岡本おさみ 作曲・吉田拓郎)だけである。

【収録曲】

SIDE A 

1 大晦日 

2 南の街の少年へ 

3 孤独なランナー 

4 おはなし 

5 スター 

6 風になりたい

SIDE B 

1 ディスク・ブルー 

2 雨は降っているけれど 

3 ロンサム通り 

4 錆びたスプーン 

5 花の季節 

6 こんなに空が青くては 

風になりたい』は名曲だけあって、その後、沢田聖子、我那覇美奈と歌い継がれて、現在、中ノ森バンドが映画「結婚しようよ」のテーマソングとして歌っている。こちらはロック調のアレンジで、なかなかいい味を出している。

Ci131a_2

(中ノ森バンド~『風になりたい』)

ちなみに、川村ゆうこは今、私と同い年である。年齢はあえて伏せておこう。

そして、川村ゆうこの動画『風になりたい』はこちらで。

そして、そして、中ノ森BANDの『風になりたい』はこちら。

|

2008年1月26日 (土)

SONG TO SOUL~ 『結婚しようよ』

Cimg0187a昨年の12月6日からBS-i(TBS)で、『SONG TO SOUL~永遠の一曲~』というハイヴィジョン番組がはじまった。この番組のうたい文句は、

そして…永遠の一曲。どんな音楽、楽曲にも必ず「はじまり」があります。それらはある時、この世界のどこかで生まれました。やがて音楽は育ち、あるものは洗練され、あるものは形を変え、時空の旅を経て、ようやくその人の元に辿り着いたのです。

この番組は、多くの人々の心に響き続けるソング(名曲)のルーツを辿りながら音楽を生み出したソウル(魂)と音楽に魅せられたソウル(魂)をつないでいく、新しいジャンルの音楽番組です。

というものであり、

第1回 『青い影~プロコル・ハルム

第2回 『イット・トゥ・レイト~キャロル・キング

第3回 『サウンド・オブ・サイレンス~サイモン&ガーファンクル」』

と世界の音楽史でも一代ムーブメントを巻き起こした名曲、そして同時に私の人生の中でも大きな比重を占める曲ばかりであり、この番組の「永遠の一曲」は、洋楽史に燦然と輝く名曲中の名曲だけをとり上げていくのかと思っていた。

ところがどうだろう、その予想はまったくいい意味で裏切られたのである。なんと第4回(1月24日)は、『結婚しようよ~吉田拓郎』であった。そしてまた、どうして『結婚しようよ』なのかとも。吉田拓郎であれば、その永遠の一曲は『イメージの詩』や『マーク』、『人間なんて』、『青春の詩』ではないのかと。

拓郎ファンであれば、誰しもがそう思うであろう。当時高校生だった私にとって『イメージの詩』は強烈なインパクトを受けた曲である。『結婚しようよ』からは、強烈なインパクトやメッセージ性は感じられなかった。

しかし、この番組の意図は、拓郎ファンとしての一曲ではなく、日本の音楽史に一石を投じた曲としての一曲なのである。

Cimg0189a拓郎ファンとしては、『結婚しようよ』は拓郎ではないのだ。拓郎ファンはやはりメッセ-ジを持った曲こそが拓郎なのであり、世間に媚びるような、当時からみればフォークではなくポップな『結婚しようよ』は、もはや拓郎ではなかったのである。

この一曲で拓郎を全国区に押し上げたが、拓郎ファンでもある坂崎幸之助(アルフィー)が言うように、拓郎ファンにとって「拓郎は自分の中だけにでいてほしかった。」のである。「誰もが知っている拓郎を好まなかった。あるいは認めたくなかった。のである。それは「大切なものは自分のものだけにしておきたい。」といった、当然の心理からくるものでもある。

拓郎ファンからすれば、『結婚しようよ』はファンへの裏切り行為であった。そして、それに続く『旅の宿』により、一層そうした感情・心理といったものが大きなうねりとなり、コンサートでの「帰れコール」となった。

それは大物の証でもあった。かつてボブ・ディランがアコースティック・ギターからエレキ・ギターに持ち替えて、ディラン・ファンから「帰れコール」の罵声を浴びたのと同じことであった。

しかしそれでも、今でも拓郎ファンだと自認する人たちは、心の奥では、そんなときにも拓郎ファンだったのである。

続きを読む "SONG TO SOUL~ 『結婚しようよ』"

|

2007年12月15日 (土)

“転がる石”と“転がらない岩”

今日、レッド・ツェッペリン熱狂のライヴ~『永遠の詩』を久々に鑑賞した。当時、最も偉大なバンドとして神格化されたレッド・ツェッペリンの1973年に演奏されたマディソン・スクエア・ガーデンでのライヴ映像だ。いや、ライヴ映像に幻想的な映像をつけ加えた作品である。その良し悪しは賛否両論があるらしいが、それは、ここでは問わないことにしよう。Red_2

演奏される曲目は、

1.ロックン・ロール

2.ブラック・ドッグ

3.貴方を愛しつづけて

4.ノー・クォーター

5.永遠の詩

6.レイン・ソング

7.幻惑されて

8.天国への階段

9.モビー・ディック

10.ハートブレイカー

11.胸いっぱいの愛を

の11曲、約137分の映像に11曲は物足りないが、CDでは聴くことのできない絶妙な演奏が聴けることは確かである。

私がツェッペリンに興味を持ったのは、1969年の『胸いっぱいの愛』、翌1970年の『移民の歌』からだが、あまりハードロックを好まない私は、他の曲にはあまり興味がなかった。

そして、1971年に制作された「レッド・ツェッペリン IV」の『天国への階段(Stairway To Heaven )』は、まさに名曲中の名曲として私の心に残ったのである。

ハードロッカーが、時として演奏するバラードには、珠玉の輝きを発することがある。『天国への階段』の神秘めいた演奏と、その歌詞のもつ深遠さは誰をも惹きつける魅力がある。

天国への階段』は、

キラキラと輝くものはすべて黄金だと信じて疑わない貴婦人は、天国から射す光の階段をも金で買えるものと思いこむ。自分がほしいと言えば、何でも手に入れられると信じている。

物事には往々にして二つの意味があるとしても、がんとした思想はそうしたものを受け入れないののである。

という出だしではじまる。

Cimg9802aそして、

すべてが一つに、一つは全てになり、岩となり決して転がることはない。

と結ばれる。

ボブ・ディランが歌った『ライク・ア・ローリング・ストーン』(1965年)の“転がる石”は、時代の波にゆっくりと佇んで苔むしてしまう石とならず、社会を痛烈に批判しながら生き進もうとする「生」への現われだったが、ツェッペリンが歌う『天国への階段』の“転がらない岩”は、「死」の象徴として表現されているように思える。物事は往々にして二つの意味を持つとは、例示的だが「生」は「死」の意味を内包し、「死」は「生」の意味を内包するという意であろう。

また、ボブ・ディランの『ライク・ア・ローリング・ストーン』が「動」であれば、ツェッペリンが歌う『天国への階段』は「静」ともいえるだろう。そして、同様に「動」は「静」の意味を内包し、「静」は「動」の意味を内包する。

聴き方によっては『天国への階段』は、『ライク・ア・ローリング・ストーン』のアンサーソングとも呼べなくもない。そして、当然のことながら「ROCK」の「岩」は、音楽としての「ロック」をも内包しているのであろう。

更には、“転がらない岩”にはボブディラン批判を秘めているとみるのは、あまりにも邪推に過ぎるだろうか。

|

2007年11月 4日 (日)

最も偉大な500曲とは・・・。

RS 500 Songs Photo

2004年に、ロック誕生50周年を記念して、米国で最も人気ある音楽誌「ローリングストーン」が「最も偉大な500曲」を選定した。このリストは、一般音楽ファンの投票により選ばれた人気投票ではなく、全米の評論家、レコード会社、業界機関などの音楽関係者やJ・ミッチェル、E・コステロ、O・オズボーン、A・ガーファンクルなどのミュージシャンにアンケート調査し選定したベスト500曲だという。

しかしながら、私は下記の100曲中、真に名曲と思えるのは30曲程度しかない。それは仕方のないことであり、100人が100人同じ曲を好きだという方が怖いものがある。

何はともあれ、年末にBS2で再度このベスト500から選出した特集を組むということであるから、楽しみにしたい。

1. Like a Rolling Stone, Bob Dylan

2. Satisfaction, The Rolling Stones

3. Imagine, John Lennon

4. What's Going On, Marvin Gaye

5. Respect, Aretha Franklin

6. Good Vibrations, The Beach Boys

7. Johnny B. Goode, Chuck Berry

8. Hey Jude, The Beatles

9. Smells Like Teen Spirit, Nirvana

10. What'd I Say, Ray Charles

11. My Generation, The Who

12. A Change Is Gonna Come, Sam Cooke

13. Yesterday, The Beatles

14. Blowin' in the Wind, Bob Dylan

15. London Calling, The Clash

16. I Want to Hold Your Hand, The Beatles

17. Purple Haze, Jimi Hendrix

18. Maybellene, Chuck Berry

19. Hound Dog, Elvis Presley

20. Let It Be, The Beatles

21. Born to Run, Bruce Springsteen

22. Be My Baby, The Ronettes

23. In My Life, The Beatles

24. People Get Ready, The Impressions

25. God Only Knows, The Beach Boys

26. A Day in the Life, The Beatles

27. Layla, Derek and the Dominos

28. The Dock of the Bay, Otis Redding

29. Help!, The Beatles

30. I Walk the Line, Johnny Cash

31. Stairway To Heaven, Led Zeppelin

32. Sympathy for the Devil, The Rolling Stones

33. River Deep - Mountain High, Ike and Tina Turner

34. You've Lost That Lovin' Feelin', The Righteous Brothers

35. Light My Fire, The Doors

36. One, U2

37. No Woman, No Cry, Bob Marley and the Wailers

38. Gimme Shelter, The Rolling Stones

39.That'll Be the Day, Buddy Holly and the Crickets

40. Dancing in the Street, Martha and the Vandellas

41. The Weight, The Band

42. Waterloo Sunset, The Kinks

43. Tutti-Frutti, Little Richard

44. Georgia on My Mind, Ray Charles

45. Heartbreak Hotel, Elvis Presley

46. Heroes, David Bowie

47 .Bridge Over Troubled Water, Simon and Garfunkel

48. All Along the Watchtower, Jimi Hendrix

49. Hotel California, The Eagles

50. The Tracks of My Tears, Smokey Robinson and the Miracles

続きを読む "最も偉大な500曲とは・・・。"

|

2007年4月 8日 (日)

幻の名曲 『君うるわしのかんばせ』

Cimg0136a 














幻の名曲『君うるわしのかんばせ』

私が時々、思わず口ずさむ曲がある。

その曲は様々なアクシデントにより、当初とは違った形で、ある歌手によって歌われることとなったが、タイトルも詩詞も違ったものとなった。

それは、30年ほど前に吉田拓郎が作曲した『君うるわしのかんばせ』である。作詞は阿久悠、当然のように普段の拓郎とは違って、幾分歌謡曲調のしっとりした歌である。

『君うるわしのかんばせ』は、拓郎が司会するセイ・ヤングかオールナイト・ニッポンの深夜放送で、拓郎の弾き語りにより紹介された。 私はその曲を聴いて、拓郎らしくないが、これまでにないいい曲だと感じた。そして、レコーディングして歌うのは萩原健一だという。

しかし、聴いた話だが、萩原健一の歌い方に拓郎が注文をつけたようで、それを萩原健一が承服しなかったのか、曲はボツとなった。よって、『君うるわしのかんばせ』は、この世に出ることはなかった。

私は、当時ラジオで拓郎が歌うときには必ずカセット・テープに録音していたので、曲はそのテープを聴いて覚え、ギターを弾いて歌ったりもした。また、この曲で、『かんばせ』は『顔』を意味するということも初めて知ったのだが、おそらく拓郎ファンの多くはこの曲を知らないだろう。

その後、数年後か幾月後か不明であるが、偶然にも清水健太郎がテレビで同じ曲を歌っているのを聴いたのである。私は驚きとともに耳を傾けた。しかし、曲は同じでもタイトルと歌詞は違っていた。つけられていたタイトルは『夢の中』か『さらば』、歌詞は最後の部分「あ~ あの人は夢の中~」しか思い出せない。

そして、この曲の不幸は、それだけに終わらなかった。ヒットの予感もあった最中(私の記憶でだが…)、清水健太郎が薬物で警察に逮捕されて歌えなくなったとともに、曲も放送されなくなったのである。

されど、この曲は私にとって、今でも口ずさむほどの私の中の名曲であり、世に出るには出たが、失われてしまった『幻の名曲』となったのである。 だから、ここに、その足跡を残すために記しておきたい。

『君うるわしのかんばせ』

君うるわしの かんばせを
わが枕辺に 近づけて
熱き唇 重ねよや
時うつろいて 過ぎぬまに
花紅に 萌ゆるとき
いまひたすらの 愛の中

君かぐわしの 黒髪を
わが肩先に ふるわせて
熱き吐息に 酔いしれよ
胸の炎の 消えぬまに
花咲きほこる つかのまに
いまひたすらの 愛の中

君やわらかき その胸を
うす紅に 染めながら
愛のうねりに のまれよや
熱き柔肌 冷めぬまに
花色褪せ 枯れるなら
いまひたすらの 愛の中

(画像は、私が学生のころ、なけなしの小遣いをためて買った、当時の名器 YAMAHA FG-500をD・ショットしたもの。ハードケースに入れているので、今でもそんなに傷んでいない。)

|

2006年9月 3日 (日)

ミスター・マンデイ ~ オリジナル・キャスト

Mrmonday1970年に日本で大ヒットした『ミスター・マンデイ』を含むオリジナル・キャストのCDアルバムが出ていたとは知らなかった。それも、もう1年前にである。

私は、以前『ミスター・マンデイ』を海外のネットまで探してみたが、CDは発売されていなかった。

もっとも、オリジナル・キャストはカナダのバンドで、彼らの曲はカナダの他に日本でしか売れなかった。その日本では45.8万枚も売れたという。当時の1位が森山加代子の『白い蝶のサンバ』で47.5万枚、その年のレコード大賞をとった辺見マリの『経験』で48.4万枚というから、洋楽としては爆発的な大ヒットだった。

しかし、全米ではこのアルバムに収録されている『天使の兵隊』がビルボード最高位34位、『ミスター・マンデイ』に至っては119位と注目されることはなく、1971年には解散してしまう。

リード・ヴォーカルのディキシーの歌声は、ショッキング・ブルーのマリスカ・フェレスに似て力強く、当時15歳の僕にとっても魅力的に聴こえたものだ。

そして、35年を経た今、『ミスター・マンデイ』を聴き返しても、その魅力は色褪せてはいない。

Oh Mister Monday,me oh my   You collect on the tears we cry…

|

2006年6月21日 (水)

CMの裏の名曲2~『ふたりのシーズン』

Zonbee_1

♪It's the time  of the season
When love runs high・・・

ため息のような微かなスキャットとアンニュイなヴォイスではじまるこの曲、ゾンビーズの『ふたりのシーズン』は、様々なCMに毎年のように使われている。

1969年、全米・全英で大ヒットしたこの曲には、裏話がある。

なんと、その年すでにグループは解散しており、曲だけが一人歩きしたといういわくつきの名曲なのである。

1968年、その前衛的なグループ・カラーがイギリスでは見放され、最後にして最初のアルバム『オデッセイ・アンド・オラクル』がアメリカに渡り、そのアルバムから翌年にシングル・カットされた曲が、この『ふたりのシーズン』であった。

ビートルズが実質的に解散したこの年、私にとってビートルズ以上に最も記憶に残る1曲が『ふたりのシーズン』なのである。「動」と「静」、「強」と「弱」、「荒々しさ」と「繊細さ」、そしてこのころには珍しく色っぽさを併せ持ったこの曲は、60’sの最後を飾るにふさわしい名曲に違いない。

♪What's your name ?
Who's your daddy ?

・・・・・

Tell it to me slowly  tell you why
I really want to know
It's the time  of the season  for loving ...♪

ちなみに、1967年、GSブームのころ、カーナビーツが歌ってヒットした『好きさ 好きさ 好きさ』は、ゾンビーズの『 I Love You 』が元歌である。

ZOMBIES FAN SITE  http://zom.thefondfarewells.com/index.html

|

2006年6月 6日 (火)

CMの裏の名曲1~『にくい貴方』

Cimg8682a最近よくTVで流れる、ダイハツCOOのCMのバックグランドに使われている曲は、1966に日本でもヒットしたナンシー・シナトラの『にくい貴方』(原題These Boots are made for walkin)である。もっとも、このCMでは最近売り出し中の伊藤由奈がカヴァーしているのだが。

1966年といえば、ビートルズが来日した年でもあり、まだ小学校5年生の私は、すでに洋楽に興味を示していた。

そのころは、『アイドルを探せ』のシルヴィー・バルタン、『花のささやき』のヴィルマ・ゴイク、『夢見るシャンソン人形』のフランス・ギャルなど、ヨーロッパの女性シンガーが席巻しており、このフランク・シナトラの娘で生粋のアメリカン女性シンガーが歌う『にくい貴方』は、どこか垢抜けていた。

彼女の、セクシーでぶっきらぼうな歌いまわし、そして、サビのラスト「these boots are gonna walk all over you」に続く、あの何かを予感させるような危険に満ちたベースの響きがたまらない。そういう意味でも忘れ得ぬ名曲として私の心に残っている。

ナンシーには、もう1つ『サマー・ワイン』という曲もあるが、いずれも甲乙つけ難い名曲に違いない。

ナンシー・シナトラOfficial Site   http://www.nancysinatra.com/

(画像は、NHK-BS放送『60’洋楽全米NO1ヒット』からTV画面をDショット)

|

2006年4月25日 (火)

風になりたい

Aqusco7川村ゆうこの『風になりたい』は、私にとって隠れた名曲といえようか。

この曲、実は私の敬愛する吉田拓郎の作詞・作曲によるものである。

白い雨が 街中濡らして もうすぐ朝です 少し寒い

長い髪を伝わる雫が 頬をかすめて 手のひらに落ちた

抱きしめられても あなたをつかめない

覚えているのは 煙草の煙と 私を離した時の すきま風

通り過ぎる あなたが風なら 私も今すぐ 風になりたい

どうぞ誰か 私のからだを 包んで下さい 一人はきらい

傘を棄てて かくしてほしい 冷えた心を あなたにあげます

やさしくされたら ゆれてしまいそう 追いかけたくても 一人で残ります

悲しむことより 思い出作りに 私は今でも 時を送りたい

通り過ぎる あなたが風なら 私も今すぐ 風になりたい

通り過ぎる あなたが風なら 私も今すぐ 風になりたい

私も今すぐ 風になりたい

という歌詞であるが、曲がまたいい。どこか男心をくすぐるというか、健気な意志の強さが涙さえも誘ってしまうというと大げさだろうか。私にはそう伝わってくるのである。

そんなわけで、「通り過ぎる あなたが風なら 私も今すぐ 風になりたい」という部分は、昨日から衣替えしたHPのエピグラフに使っている。

(画像はHPの表紙の色調を変換し、グラディエーション化したもの)

|